伊豆・沖縄・ダイビングの想いで
冬の沖縄の海に現れる生き物
冬の沖縄の海に現れる生き物と言えば、クジラ。でもこれはダイビングで見ることはまず無理です。水深30m程度ではクジラにとってはかなりの浅瀬ですからね。ダイビングの行きかえりに水面のクジラに出遭うことは普通ですが、水中では経験がありません。 ダイビングなら、イソマグロが多いですね。夏もいることはいるのですが、冬の方が数が多い気がします。それから、コブシメ。大型のイカです。50cm程度は普通サイズ、しかもかなりそばに寄れるのでじっくり観察できます。彼らは驚異的な体色の変化をしますね。白一色から、まだら模様、左右塗り分け、さらに網目模様まで、一瞬にして姿と色を変える能力はまさに驚異的です。 そして、最後は小さな生き物、ウミウシです。もともと貝の仲間なのですが、殻がないのでイメージはナメクジでしたが。知れば知るほど奥が深い。その種類の多さと良く見ると可愛くきれいなんです。最近はアマチュアダイバーでもウミウシファンが増えてきてますよ。
イントラの社会的地位なんてないに等しい状況
ダイビングにすっかりはまり、イントラの資格は取ったものの、それだけではほとんど飯の種にはなりません。SHOP勤めでもらえる給料も驚異的な安さでしたね。イントラの社会的地位なんてないに等しい状況でした。 それでも夏はまだいいんです。問題は冬をどう過ごすかです。夏だけの雇われガイド・イントラが多いですからね。そんな時は、ちょっと危険だけど水中工事をやったり、船底掃除をやっていましたね。船の底はすぐに汚くなり、これがスピードに大きな影響を与えるのです。装備を付けて船の底をゴシゴシと地道に磨いていく、気の遠くなるような作業。上向きにやるので気分が悪くなるんですね。 それにダイビングポイントで停泊中にやるのならともかく、基本は港の中、はっきり言って汚いです。水底はヘドロ状態の場合もあり、巻き上げるとほとんど視界ゼロだったり。沖縄のイントラ・ガイドは必ず通る経験です。
サザエを取ったり、魚を突いて刺身を食べさせてくれたりするショップ
沖縄のダイビングは元々物取り、と言っては言い過ぎですね。でも原点は漁です。PADIなんて名前を知るずっと前から海に潜って魚や貝をとって食料にしていたのです。ですからライセンスなんて持っているわけもありません。 これは船も同じで、日本に復帰する以前の漁師は、船舶免許なしで漁をしていたわけです。後になって免許制度が入ってきたので、当時は大変だったようです。潜水漁も当たり前のことなわけで、その感覚が今も変わらない部分もあります。ダイビングショップはこう言った元漁師系のものと、内地の人間が行なうPADIスタイルのショップがあるのです。 前者のツアーでは、サザエを取ったり、魚を突いて刺身を食べさせてくれたりする場合もありました。これが沖縄のダイビングのちょっとした問題になったこともあるのです。僕らは純粋にファンダイビングをしたいわけですから、やっぱり、「取るのは写真だけ、残すのは泡だけ」のスタイルを守るべきですよね。
セミホウボウ・ウミテング・ツマジロオコゼなんかがおもしろかったりする
ケラマでダイビングをするときは、やはり、ポイントポイントで何が見られるのかということは大切です。黒島南ならマンタ、下曽根ならイソマグロってぐあいで内地から来たダイバーにとっては「さすが沖縄の海!」って感じです。 そうでなくても沖縄の海には、チョウチョウウオやべラやスズメダイなど、沖縄でしか見られない魚がいっぱいいるし、カメやサメも普通にいますから、初めての沖縄ダイビングは竜宮城に見えるはず。 個人的にはちょっと珍しい、セミホウボウ・ウミテング・ツマジロオコゼなんかがおもしろかったりするのですが、沖縄で珍しいってのは、内地のダイビングでは普通に見られる魚で、こっちが「どうだ、珍しいだろ」なんて気持ちで見せても、喜んでもらえなかったりすることもあるんですね。そういえば、ウミテングって伊豆の大瀬崎にもいたなぁ。
天気図や予報には目が離せない
冬でも、青い空が広がり太陽が顔を出すと、汗ばむほどのコンディションになることもあります。天気予報も実はあまりあてにならなくて、朝方は雨でも昼前には快晴のようになることもあるんです。 この時期は天気の変化が激しいんです。良くなる場合は問題ないのですが、逆は大変、海に出ていてダイビング中に風が変わることがあります。南風だったのが急に北風にかわり、波が立ち始めたりすることもあります。こんなときは大急ぎで帰るしかないですね。 天気予報で「前線の通過にともない・・・」と言う表現がありますが、海に出ていると正にこの「線」を見ることができます。北西に黒い壁が見えると、あっという間に近づいてきて大荒れになることもあるのです。だから、天気図や予報には目が離せないですね。
スキンダイビングでは貝を獲ってもいい
伊豆で潜っていた頃の話ですが、知合いになったダイバーが、僕よりも10才以上年上でダイビングの経験も長いんですね。それでダイビングをやる前はスキンでよく潜っていたらしいんです。「器材を使って潜らないスキンダイビングでは貝を獲ってもいいんだ」って言うもので、おもしろいから一緒にやろうよって誘われたのです。 もちろん僕もスキンで潜るのは嫌いじゃないから、誘いに乗ったのです。でもちょっとイメージが違い驚きましたね。岩場で潜るんです。つまり収穫が得られそうなところです。貝獲りにはあまり興味がなかった僕ですが、驚きの発見でした。 波に乗って水中を流されるのが楽しいんです。器材がないので体が軽い。岩があっても「ひょいっ」て避けられて、また引き戻される。水中を眺めて波が来ると岸に向かって流される。それの繰返しです。そうやって何も獲らないで遊んでいたら、「なにやってんだ?おまえは」って怒られましたが、海の楽しみって人それぞれですよね。
カクレクマノミがなんと言っても可愛さではナンバー1
映画でニモが流行って以来カクレクマノミがかなり人気です。熱帯魚屋さんでもよく売れているそうです。なんと言っても可愛さではナンバー1ですからね。 このニモという名前は推測ですがアネモネフィッシュから来ていると思います。英語の綴りはANEMONE FISHでその中のNEMOを名前にしたのでしょう。ちなみにSEA ANEMONEとはイソギンチャクのことなので、クマノミは「イソギンチャクの魚」、なんか可愛くないですね。 可愛くないと言えば、ニモ人気以来、カクレクマノミを捕まえて売り飛ばすということが起こっていることです。いい値段で売れるらしく、いたはずのカクレクマノミが姿を消してしまった場所もあるのです。水槽で熱帯魚を飼うのは楽しいことですが、海の中の魚が減っていくのは悲しいことですね。体験ダイビングで一番喜ぶのがこのニモとの出会いだったりするだけに、乱獲には怒りを感じます。
初めは全てオスとして生まれ、強い固体がメスに性転換
クマノミってのはイソギンチャクに数匹ついています。大きいのがお父さん次がお母さんで、小さいのが子供たち。なんて言う雰囲気でとっても可愛らしいのですが、実はまるで違うのです。初めは全てオスとして生まれ、その中で最も強い固体がメスに性転換するらしいのです。 となると二番目がお父さんかというと、まぁオスではあるのですが、ひとグループが家族って分けではなく競争相手にすぎないのですね。ニモのお陰でカクレクマノミはすっかり有名ですが、ハマクマノミやハナビラクマノミなんかもかなり可愛いです。 御存知のようにクマノミはイソギンチャクに住むので捕獲するときはイソギンチャクごと獲ってしまうのです。だから、何度も潜っているところから、クマノミがいなくなるとすぐわかるんですね。この間もセジロクマノミがイソギンチャクごと消えていたのを発見、悲しいですね。
大渡海岸・奥武島・砂辺ビーチあたりが講習の定番
ダイビングのイントラになったら、ガンガンケラマで潜れるぞ!なんて期待していたのですが、現実は甘くなかったですね。イントラになるとまずはプール講習ばかりやらされました。まぁ、当たり前のことなのですが、プールでなければ限定水域といって浅い海で講習をします。 沖縄本島で使われるビーチは大渡海岸・奥武島・砂辺ビーチあたりが定番です。砂辺はまだ悪くない海ですが、大渡海岸は、潜れない浅瀬が長く続くの歩くのが大変、奥武島はほとんど、どんなコンディションでも潜れるのですが、沖縄の海って感じじゃないですよね。 ケラマに行くことができたとしても、講習では深く潜ることはできないし、ファンダイビングの楽しさはありません。講習担当でなければ体験ダイビングの担当ですから、さらにダイビングの楽しさは少なくなります。その代わりに講習生や体験をするゲストの方にとっても感謝され喜ばれます。当時はこれが一番の楽しみでした。
北海道から来るとさすがに沖縄は暖かいようです
冬の間ははっきり言ってダイビングをするゲストは少ないです。やっぱり寒いし、沖縄は夏が一番魅力的ですからね。それでも内地からパラパラとダイバーの方がやってきて沖縄の海で潜りたがるわけです。 北海道から来るとさすがに沖縄は暖かいようですが、中には常夏のイメージでくる人もいて、ぶるぶる震えたりしているのを見ると、ちょっと申し訳ない感じもするのです。しかし、それでも冬の沖縄には夏にはない魅力があるんです。今の時期はクジラが来ているので、これを見ることも水中で声を聞くこともできるのです。でも、それよりいいことは、ダイバーもダイビングボートも少ないことだと思うのです。 やっぱり、人間が大量に水中に入ると魚だって逃げちゃうんですよ。1名2名のゲストダイバーで、スキルが高い時はダイビングにもかなり自由度があるので、大勢連れて潜る時とはまるで違う面白いダイビングができるのです。
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